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歯並び教室 もくじ

ホームルーム 「子育て歯科」とは…

ホームルーム 「子育て歯科」とは

人はだれでも、健康になれる力を持っています。心も、身体も、そしてお口の中も同じです。そして子供の場合、お父さんやお母さん、そして周りにいる人たちの影響で大きく変わってきます。 もともと持っている「健康になれる力」を損なうことなく、生活習慣や子育てのしかたを見直すことで歯や口を健やかにはぐくんでいきたい。それが三鷹ハートフル矯正歯科医院の願いです。 子供には、成長発育する力には無限の可能性があり、周囲のはたらきかけでいつでも開くことができます。最近のご両親は、歯磨きやむし歯予防だけでなく、歯並びにも並々ならぬ関心を寄せています。「子供が将来歯並びが悪くなったら、積極的に矯正しよう」と思っている人も少なくありません。 けれど「矯正の前に、アゴを大きくする努力をしましょう」というと、「歯並びは生まれつきのもので、親の努力が必要だとは思いもしませんでした」と驚く人がほとんどです。 確かに先天的要素や遺伝の影響もあり、100%子育てだけで歯並びのよい子に育てることはできません。けれど、アゴの骨や歯列の幅を大きくきれいに育てる食生活や姿勢、生活習慣病などは、親の心構えひとつでできるものなんです。

目指す歯並びはこんな歯並び!

目指す歯並びはこんな歯並び!

良い歯並びといっても、皆さま人それぞれの価値観で変わってきます。患者さまの中にも歯並びは綺麗で、丸みのある女性らしい歯の方が、「私の歯は丸すぎて嫌なんです。テレビなどで見かけるような四角くまっすぐ横に揃ってる。あれが私の理想です」とお話してくださった方もいらっしゃいました。 しかし、歯並びは見た目以上にその機能がちゃんと働いているかが問題です! 永久歯28本がきれいなアーチ状に並び、デコボコがなく、上下の歯がしっかり咬み合っている状態を目指しましょう!

お子さまの歯をもう一度チェックしてみましょう

永久歯の歯並びがよくなるかどうかは、乳歯の歯並びにかかっています。お子さまの歯並びをチェックしてみましょう。どちらの歯並びがきれいですか?

乳歯の歯並び①
乳歯の歯並び②

永久歯が生えてくるとその違いは一目瞭然です。

すきっ歯の歯並び①
すきっ歯の歯並び②

これがホントの歯並びが悪いと困ること

「男の子だから多少は並びが悪くてもいい」「八重歯もかわいいし」など、美だけで醜だけで歯並びを考える人は少なくありません。本当にそうでしょうか?
前にも書いたように、良い歯並びは、その機能がちゃんと働いているということ。つまり、歯並びが悪いとうまく機能されない部分が出てくる、ということです。
これは見た目だけの問題ではありません。

1むし歯や歯周病になりやすい

歯並びが悪いとハブラシをしても奥歯など隅々まで磨けないため、むし歯や歯周病になるリスクが高くなります。また、人は唾液を分泌することで歯を清潔にしますが、デコボコがあると唾液にあたらない部分が出るため、むし歯になりやすくなります。

2胃や腸への負担が大きい

噛むという行為は、実は非常に複雑。すべての歯には役割があり、28本(永久歯の場合)がバランスよく咬み合わせることではじめて、食べ物が消化しやすい大きさになるものです。また、ちゃんとかめないと唾液の分泌も十分でないので、消化器系への負担も大きくなります。

3発音がうまくできない

歯並びが悪いと、発声した時の発音が悪くなることもよくあるケースです。極端な上アゴ前突や開咬の場合も上手に発音できません。受け口の場合、サ行やタ行が発音しにくくなります。

4骨格やアゴ関節に問題が生じる

上の奥歯と下の奥歯がすれ違いのような状態になっているはさみ状咬合であったり、上と下の奥歯にずれが生じているこうさ咬合があるケースでは、顔の形が左右非対称になってしまいます。その状態でもかみ続けると、噛む力が不均衝に。また、姿勢が悪く、いつも下アゴが後ろに下がっていると、負担がかかり、アゴ関節に症状が表れる場合もあります。

5コンプレックスのもとになる

歯並びが悪い方の中には「笑う時に口を開けないよう気を付けてしまう」「手で口を隠しながら笑ってしまう」と応える人もいます。咬み合わせによっては、くちびるが閉じない人もいます。それがコンプレックスとなって対人関係に影響を与える場合もあるのです。

コンプレックスのもとになる

悪い咬み合わせってどんなもの?

問題のある歯並びや咬み合わせを総称して「不正咬合」といいます。不正咬合には以下のようなものがあります。ここでは種類のみの紹介にします。原因や対策などは「歯並び教室」後半で!

悪い咬み合わせってどんなもの?

1時間目 乳歯 (よい歯並びは乳歯から!)

歯並びがよくなるかどうかは、環境因子と遺伝子が関係すると言われています。従来のように、遺伝だから・・・とあきらめず、歯並びのよい子に「育てる」努力をしてあげましょう。理想的な乳歯と乳歯裂を育てることが、将来のよい歯並びにつながります。

アゴを大きくきれいに育てましょう!

アゴを大きくきれいに育てましょう!

乳歯が20本なのに対して永久歯は28本と本数が多く、1本1本の大きさも、比較すると永久歯は約1.2倍の大きさになります。このことから、歯を収納するスペースであるアゴ骨がちゃんと発育していないと、永久歯が正しく並ぶスペースがなく前後にずれたり傾いて生えたりして、キレイな歯並びが形成できなくなることがわかると思います。 人間のアゴを、将棋の箱のようなものと考えてみてください。そこの将棋の駒をぴったりと一分のすきもなく並べるとします。 この箱が、たった1ミリでも大きくできていると、将棋の駒は前後にずれたり、斜めに傾いたりと、ぴったり並ぶことはできません、逆に小さな箱では、駒どうしが重なったり、がちゃがちゃの状態で並ぶことになります。この、将棋の駒と箱の関係、それが子供の歯とアゴなのです。

すきっ歯が歯並びのキメテ

すきっ歯が歯並びのキメテ①

永久歯がきれいに並ぶためには、永久歯が生えてくる前、つまり4~5歳頃までに、土台となるアゴがしっかりと育っている必要があります。アゴが充分に育っているかどうかは、乳歯の歯並びを見ればわかります。意外に思われるかもしれませんが、左の乳犬歯から右の乳犬歯までの6本の歯の間すべてにすき間が開いている状態が理想的です。

すきっ歯が歯並びのキメテ②

このような状態を目指しましょう 1本1本の乳歯の間にすき間があり、永久歯がきれいに並ぶだけのスペースがあります。

すきっ歯が歯並びのキメテ③

乳歯と乳歯の間にすき間がないと・・・ 一見きれいなので「歯並びがいいね」と言われそうです。けれど、歯と歯の間にすき間がないため、永久歯の生えるスペースが確保できません。乳歯にすき間がないと95%は歯並びが悪くなるとも言われています。(2時間目参照)

乳歯のむし歯、侮るなかれ!

乳歯のむし歯、侮るなかれ!①

歯はどうせ抜けるものだから・・・とむし歯の治療を怠るなど、乳歯を軽く考えてはいませんか?乳歯には、健康な永久歯列を作るための重要な役割があります。大切な乳歯をむし歯にしないように、気をつけてあげてください。

乳歯のむし歯、侮るなかれ!②

健康な乳歯でよく噛むことでアゴが育ちます 2時間目で詳しく説明しますが、アゴは、健康な歯でよくかんで食べることで育ちます。むし歯のある歯では食べ物がしっかりかめません。噛む回数が少ない状態で飲み込んだり、柔らかいものしか食べないような食生活ではアゴが育たず、永久歯がきれいに並ぶのに必要なスペースが確保されずに歯並びが悪くなってしまいます。

乳歯のむし歯、侮るなかれ!③

乳歯は、生えてくる永久歯を正しい位置に導きます。

乳歯のむし歯予防は徹底的に

乳歯のむし歯予防は徹底的に

むし歯予防の先進国であるフィンランドには、5歳以下でむし歯のある子はほとんどいません。その指導の柱となっているのが「歯磨き」「正しい食生活」「健診」「フッ素」「キシリトール」の5つです。また、ミュータンスの感染にも注意しましょう。

むし歯予防の四つ葉のクローバー

むし歯予防の四つ葉のクローバー

歯磨きは、むし歯予防には欠かせません。毎日きちんとみがくことで、むし歯菌のかたまりであるプラークを取り除き、口の中を清潔にしましょう。仕上げ歯磨きは子供が小学校3年生になるくらいまで続けて。 食生活は甘いもののとり方が大事です。食後のデザートとしてたっぷり食べ、ダラダラ少しずつ食べる習慣はなくしましょう。また、唾液が多いとむし歯になりにくいので「よく噛む」メニューを食事に取り入れて。 フッ素は、歯のエナメル質を強化して守ってくれます。初期のむし歯を修復してくれたり、むし歯菌の働きを弱める力もあります。フッ素入りの歯磨き剤を使い、2歳から15歳までは、年に2回、歯科医院で高濃度のフッ素を塗ってもらいましょう。おうちで簡単に使えるフッ素ジェルも効果的。 キシリトールは、天然素材の甘味料。悪玉むし歯菌であるミュータンス菌の活動を抑え、唾液の分泌を促す働きが期待できます。継続することで効果が持続。4年続けていれば3年やめても効果が持続しているというデータもあるほどです!食後にキシリトールガムやキシリトールタブレットをとる習慣があるといいですね。 定期健診も欠かせません。初期のむし歯はお母さんにも気づきにくいもの。定期的に歯科医院に通う習慣をつけましょう。 ミュータンス菌の感染に注意! お菓子などの糖分が歯を溶かしている・・・と思っている人も多いようですが、糖分はむし歯菌のエサにすぎません。日本人では大人の約90%がミュータンス菌を持っています。ミュータンス菌は食事中に同じスプーンを使う等、母子間で唾液を通して感染することが多いです。親子であっても同じスプーンやコップのを使うのは控えましょう。

乳歯はなんでも知っている!

4~5歳頃までに、理想の乳歯と乳歯列を育てましょう
よいかみ合せ、きれいな歯並び、整った口元を育てるためには、乳歯の時期がどれだけ大切か、子供達の成長を見ていると心から実感します。4~5歳頃までに理想の乳歯と乳歯列を育てることが、子育て歯科の大きな目標なのです。乳歯の状態を見ただけで「将来、交叉咬合(クロスバイト)になるかもしれない」「叢生(デコボコ)はまぬかれないだろうな」など、予想ができるのも事実。手相見が手相を見て占うよりも、子育て歯科医は、乳歯から、これまでの育て方や将来の歯並びを予想できるのです。
さて、お子さまの歯はどうですか?

2時間目 アゴ (アゴを大きく育てましょう)

28本の永久歯をぴったり美しく並べるためには、乳歯の時期にアゴを大きく育てることが何より大切な課題です。お子さまのアゴを育てる生活を心がけましょう。

アゴの小さい子が急増!

「アゴの小さい子が増えた」・・・これは歯科医たちの共通の意見です。アゴが育たないから、永久歯が並びきらず、歯並びが悪くなってしまうのです。でも、なぜ子供のアゴが育たなくなってしまったのでしょうか。それは、「噛む」 回数が激減しているからです。

現代の子の噛む回数は戦前の半分以下

噛むことの研究で知られている全国食育推進研究会理事長の齋藤滋先生の調査結果では、噛む回数と食事にかける時間を、戦前と現代の子供で比較すると約半分以下に減っていると言っています。意識的に食べるものを変えてみる等、「よく噛む」ための工夫をした食生活を送らないと子供のアゴは育ちません。

「よく噛む」躾けを「食育」に

国立科学博物館の馬場悠男人類研究部長と東京大学の原島博教授が発表した100年後の日本人の未来顔予想を覚えている方はいるでしょうか。アゴのない逆三角形のコンピューター・シミュレーション像に、日本中がショックを受けたものです。これでは我々の子孫の歯並びは、さらにデコボコになり、しっかりと噛むことさえできなくなりそうです。馬場先生と原島教授はさらに、50年前の男子高校生の平均顔と最近の男子高校生の平均顔を比べ100年後の男子高校生の顔予想(イラスト)を行っています。急激に、アゴが退化している様子がわかりますね。戦後、日本人が忘れてしまった「よく噛む」躾けを、『食育』の中に取り入れるべきだと思いませんか?

50年前の男子高校生の平均顔

50年前の
男子高校生の平均顔

最近の男子高校生の平均顔

最近の
男子高校生の平均顔

100年後の男子高校生の平均顔

100年後の
男子高校生の平均顔

100年後にもびっくりしますが、たった50年でこうも変わっているのにもびっくりします。
でも50年前は確かにこういう俳優さんも多かったように思いませんか?
100年後、本当にこんな顔やアゴになってしまうかもしれません・・・

よく噛むことでアゴは育ちます

全身の筋肉や骨は、運動することで育ちます。「栄養をとれば大きく育つ」と思っている方も多いようですか、どんなにたっぷり栄養を取り込むために必要なもの、それが「運動」なのです。しっかり食べて精一杯運動をするからこそ、子供は育ち、体も大きくなります。大人であれば筋力アップにつながり骨も頑丈になるのです。

噛むことは、アゴの唯一の運動です。
アゴにとって、走る・跳ぶなどの運動に匹敵する唯一の運動が「噛む」という行為です。食べ物を噛むと、その力は顔の筋肉を介して、頭蓋骨全体に伝達され、骨の細胞を圧迫したり牽引したりします。そのように骨がたわむことで、骨を作る骨芽細胞が栄養を取り込み骨を増やした結果、アゴの骨が育つのです。

ひと口に30回かもう

アゴの骨を育てるための食事は、とくに特別なものでなくてもいいのです。どこにでもある食材をできるだけ種類多く利用して、1日3回しっかり食べることです。できればひと口につき30回、右側で10回、左側で10回、両方で10回の合計30回はかみたいものです。

母乳は最初のアゴの運動

母乳は最初のアゴの運動

おっぱいを飲むことが「かんで食べる」予習です。口の周りの筋肉をしっかり使うため、咬筋や側頭筋など噛む筋肉を発達させます。 鼻呼吸の練習にもなります。母乳を飲むとき、赤ちゃんの口は完全にふさがっていますよね。自然に鼻呼吸が身につくのです。 そして赤ちゃんは母乳を飲む時、舌を乳首に巻きつけ、舌全体を上アゴに押し付けるようにして、口の中を陰圧して強い力で吸引します。舌を正しく使う訓練にもなり、正しい嚥下(のみこむこと)の仕方を学びます。 1日に母乳を飲む回数は、新生児ならなんと8回!体が大きく成長する時期にたっぷりアゴを動かすので、アゴもぐんと成長します。

お勧めの哺乳瓶の乳首

母乳がいいと言ってきましたが、出ないお母さん、あげる時間のないお母さんだっています。だからといってあきらめないで!そういう時はおかあさんの乳首に近いタイプの乳首を使いましょう。たとえば、赤ちゃんに吸われている状態のママの乳首の形をした「NUK(ヌーク)」の乳首、母乳の出ないお母さんが、出るまでに使用する「母乳相談室」(ピジョン)などがお勧めです。

離乳食は「かんで食べる」レッスン

離乳食は「かんで食べる」レッスン

生後7ヶ月を過ぎると、離乳食がスタートします。母乳やミルクしか飲まなかった赤ちゃんが、ふつうの食事を食べられるようになるまでの離乳の時期は、様々な素材の食べ方を学習し、噛み方を工夫して上手に飲み込む練習をする、「はじめての食育」の時期といえます。食欲や食べたい意欲をひき出して、しっかり噛める子供に育てたいものです。右の写真はベビー食器です!こんなにかわいい食器だったら楽しく食べる練習ができそうですよね。決してコンビの回し者ではありませんw

豊かな食卓が食べる意欲を育てる
豊かな食卓が食べる意欲を育てる

生後7ヶ月くらいになったら、周りの大人が食べているごはんやおみそ汁、野菜の煮物などを中心に、味をうすくしたり、柔らかくして少しずつ与えてみましょう。下痢や便秘がみられたら、少し間をあけます。大切なのは、赤ちゃんが欲しがるまで与えないこと。特別な離乳食を用意するのではなく、大人の食卓を豊かにして、赤ちゃんが食べたくなる意欲を育てましょう。

食べ物をじっと見つめるのは食べたいサイン
食べ物をじっと見つめるのは食べたいサイン

口唇口蓋裂(唇や上アゴなどがくっついていない疾患)の赤ちゃんの哺乳、離乳指導を多く手がけているきむ矯正歯科クリニックの金俊熙(きむ順日)院長は、赤ちゃんが、大人が食べているものをじーっとみたり、欲しそうにしたら、それを手にもたせてあげてくださいといいます。赤ちゃんはお座りをして、手が使えるようになると、離乳は飛躍的に進みます。「意欲(食欲)のある赤ちゃんなら、工夫しながら食べることができるし、食べられない食材では、吐き出す、むせるなど失敗をしながら、食べ方や飲み方を学んでいきます。この方法なら、1歳になるころには、家庭の食事を何の問題もなく食べられるようになるのです」。興味深い話だと思いませんか。

いろんな味に挑戦して味覚の幅を広げよう
いろんな味に挑戦して味覚の幅を広げよう

離乳食期は、味覚の幅を広げるとても大事な時期です。しかも、離乳食の時期に味わったものは、将来必ず食べられるようになるものです。また、お座り以降の時期は、人が一生の間でもっとも新しい味を受け入れる時期でもあります。離乳食を難しいなものと考えずに、1歳前後のこの時期にこそ、わが家の味に慣れさせ、色々な食材を試して味覚を育てましょう。

アゴを育てる和食の食卓

自然治癒力を高める医療で有名なアメリカ人の医師アンドルー・ワイル博士は、日本のお母さんの作る夕食を絶賛してくれました。「自然治癒力を高める意味でも、バランスのとれた食事である」と。わたしもそう感じます。みそ汁には、根菜類などのかみごたえのある野菜を簡単に取り入れることができますし、おひたしや煮物に使う青菜や油揚げ、定番の干物や漬物もよくかまないと食べられません。和食はアゴを育てる適切な食事なのです。

毎日取り入れたい、根菜・乾物・魚介類

「かみこたえのある食事」というと「硬いものを食べればいい」と思いがちですが、そうではありません。「何度も噛む必要のある食品」ということです。たとえば根菜類。ゴボウやレンコン、にんじん大根、さつまいもなどを、少し大きめに切るとよくかみますね。高野豆腐やひじき、わかめや小魚なども噛む回数の多い食材です。野菜は毎食、何種類も食べるようにしたいものです。

朝ごはん、何を食べていますか?

アゴの発達のいいグループとアゴの発達の悪いグループの食事内容を調べてみたことがあります。その結果、どちらのグループにも食事の内容にあまり大きな差はありませんでした。違いが表れたのは、朝食の内容だったのです。アゴの発達のいいグループは、「菓子パンと牛乳」「ロールパンとチーズ」といったような、火も野菜も使わない洋食メニューが多かったのです。どちらのメニューがよくアゴを動かすか、一目瞭然ですよね?

小学生からでも、歯列の幅が広がります!

小学校3~4年生ころから乳歯の奥歯が生え代わり始め、中学1年生で12歳臼歯と呼ばれる第2大臼歯が生えて永久歯が完成します。この時期に家庭の努力で、歯列の幅を大きくするなんてムリ!そう思ってあきらめているお母さん、いませんか。ちょっと待ってください。新しい研究で、噛む訓練しだいで歯列の幅が広がることがわかりました。

よく噛むことが、アゴの骨の成長を助けることを繰り返し述べてきましたが、日本大学松戸歯学部の葛西一貴教授の研究では、口を上下にだけ動かし、奥歯ですりつぶすように噛む筋機能訓練を行えば、内側に傾斜していた6才臼歯の歯の軸が頬側に直立し、歯列の幅を広げることも可能だといいます。小学生になっても噛む訓練をすることで、歯列の幅が広げられるなんて、大発見だと思いませんか。「食育」に、歯科医が参加する必要性をますます感じますよね。

元気に遊んで、お腹をすかせましょう。
よく噛む原動力は、なんといっても「食欲」です。

食欲のある子

食欲のない子

噛むことで、心も脳も育つのです!

噛むことで育つ右脳前頭前野

人間の脳には、思考力や記憶力、情報処理機能力を司る「前頭全野」という部分があります。これは「人間らしさを司る脳」とも言われ、「うれしい」「悲しい」などの感性(喜怒哀楽)を育て、「がんばろう!」「禁止されていることは、いくらやりたくてもガマンしよう」というような指令を出してくれます。事故で前頭前野を損傷してしまったため、人が変わったように乱暴になったというケースもあります。さて、この前頭前野の発達と「噛むこと」が、非常に深く結びついていることをご存知でしょうか?前出の齋藤先生らのグループは、生きた人間にMRIを使って「噛むことによって、右脳の前頭前野が活性化される」という事実をつかみました。右脳の前頭前野は、情緒や感情を司る部分。「腹がたつけれどここはガマンだ」「かわいそうだから助けてあげたい」そんな人間特有の豊かな感情はここから生まれます。

3時間目 美 (アゴをきれいに育てましょう)

一般的に、アゴの骨と呼んでいるのは、歯が並び、歯を支えている骨の部分をさしています。歯がつくるアーチを歯列弓と呼びますが、ほかの骨と比べるとちょっとユニークな形をしています。U字型、いわゆる馬蹄形なのです。まっすぐな骨なら直線方向に伸びるだけなのですが、上下の歯がピッタリと咬み合うためには、上下の歯列弓をつくるアゴの骨は、縦にも横にも斜めにも、360度バランスよく立体的にグッグッと成長していかなくてはなりません。一部だけに強い力がかかったり、一部だけ成長が遅れてしまうと、アゴの形は「美しい馬蹄形」を保てなくなってしまうのです。

全体的に丸みのある馬蹄形が理想です。カーブがゆるやかで、もちろん永久歯すべてがきれいに並ぶだけの大きさがあることが大事です。

発育不全のアゴはV字型

よくかまない、舌の位置が悪い、ガンコな指しゃぶりがある、といった場合に、上アゴの形は、Uではなく「V]字型になってしまいます。V字型のアゴは、左右の幅が狭く前歯部分は突出するので、上アゴや、奥歯の交叉咬合を招きやすくなります。

子供の体はまるで粘土!?

「成長期の子供の体は粘土のよう」だと何度実感させられたことでしょう。弱い力でも、毎日同じところに力がかかると、体はその方向に歪んで育ってしまうのです。

悪い例

立ったときの姿勢が片方に傾いている子供がいます。口の中を見ると多くの場合、歯の正中線(上下の前歯の中心線)がどちらかにずれています。その子供の生活の中から原因が見えてきます。

「それだけのことで、アゴがずれちゃうの?」と驚くかもしれませんが、毎日365日分積み重なると膨大な時間となって体に蓄積されていってしまうのです。

良い例

姿勢が悪い原因が咬み合わせにあるケースでは、姿勢をまっすぐにする訓練さえすれば、姿勢が改善されるのはもちろん、アゴのずれも軽くなってきます。まさしく、子供の体は粘土のよう、生活習慣を正しくするだけで、どんどんいい方向に成長します。それは、毎日子供の姿を見ているお母さんにしかできない仕事ではないでしょうか。

日頃の姿勢がアゴの形を決める

「姿勢の悪い子が増えている」というのは、小児歯科医のみならず、多くの人が感じていることでしょう。猫背の子供も多いですが、最近では脱力系の姿勢(アゴが下がっていつも口がぽっかり開いている表情、姿勢)の子も増加しているように感じます。これは腹筋や背筋力などから支える筋肉が育ってないことと無関係ではないと思います。ほかにも、首が左右どちらかにかしいでいる子も気になりますね。このような姿勢の悪さは、アゴの形と非常に深くかかわってきます。

姿勢はまっすぐですか?

臨床的な経験からいうと、猫背の子には過蓋咬合の子が多いようです。脱力系の子には上アゴ前突が多く、首が左右どちらかにかしいだ子は咬み合わせがズレている傾向があります。もちろん歯数の問題、生える順番等の問題もあるでしょう。しかしながら、本当は正しい咬み合わせになるはずの子供が、生活習慣が正しくない事が原因で不正咬合になってしまっていたとしたら、後悔しても後の祭りです。(詳しくは4時間目で)。
正しい姿勢を保つことは、アゴだけではなく、体のすべての骨を正しく育てることにつながります。姿勢を保てるだけの背筋力を育ててほしい、そのためには外で体を動かして遊んでほしいと強く思います。

噛む力にも影響大!食事中の姿勢

子供の座高にぴったりの椅子とテーブルを使っていますか?以前行った調査では、ダイニングテーブルに座って食事をしている55%は「足が安定していない(大人用の椅子に座るなどして、足がブラブラしている)」と答えています。実は、足がぶらぶらしている状態では、咬合力(噛む力)も咬合面積も15%ダウンしていることがわかっています。小さな子にはぜひ、足置きのある子供椅子に座ってもらいたいものです。食事中の姿勢もまっすぐになります。では、正座して食べればいいのか・・・・・というと、そういうわけでもありません。座卓で食べている子の場合も、半数近くが「足を崩して食べる」と答えていて、正しい姿勢とは程遠い状態。足を崩ながらの食事は、体の軸がずれた姿勢で食べ物を噛むことになるので、アゴの発達の妨げになるだけでなく、脊椎など、全身のゆがみの原因にもなりえるのです。

アゴの形をゆがめる癖

姿勢や口呼吸のほかにも、さまざまな癖がアゴの形をゆがめています。猫背、横を向いて食事をする、左右どちらだけを下にして寝る、えんぴつや爪を噛む、唇をなめる、噛む、吸う・・・・・さまざまなくせが、知らず知らずのうちにアゴの形をゆがめ、不正咬合の原因をつくっています。なかでも、アゴをゆがめるくせのナンバーワンが指しゃぶりです。上アゴ前突(出っ歯)、開咬、交叉咬合、叢生などさまざまな不正咬合の原因となります。

なぜ指しゃぶりが歯並びを悪くする?
なぜ指しゃぶりが歯並びを悪くする?

指で上アゴを前に押す
指しゃぶりでもっとも問題が大きい「親指吸引」の場合、上アゴと上の前歯が前に押し続けられます。その結果、アゴや歯が前方に突き出る上アゴ前突になるのです。

上下の前歯にすき間ができる
しゃぶっている指の影響で、上の前歯が前に押し出され、下の前歯が内側に引っ込みます。そのため、歯と歯の間に指の厚さぶんのすきまができ、開咬になってしまいます。

上くちびるがめくれる
指しゃぶりをする子は、鼻づまりがなくてもいつも口をぽかんと開ける傾向があります。その結果口呼吸が習慣化してしまうのです。

舌癖が始まる
上下の前歯の間にすき間ができると、食べ物を飲み込むときに前歯の間に舌を押しつけ、はさむくせが出てきます。サ行、タ行、ナ行、ラ行などが舌足らずとなり、発音が不鮮明になります。

アゴがせまくなる
指を吸引しているとアゴの側面が常に圧迫されるため、アゴの横方向への発達が阻害されます。そのためきれいな馬蹄形にならずV字型になっています。

上下の歯がずれる
上アゴの発達が悪く幅が狭くなると、順調に育っていた下アゴとのバランスが取れなくなり、結果的に上下の歯が正常にかみ合わなくなります。

指しゃぶりを楽しく卒業!

「指しゃぶりなんて早くやめさせなくちゃ!」と焦ってしまった人も少なくないと思いますが、2才ごろまでの指しゃぶりは生理的なもの。そのままさせておいても問題はありません。3才を過ぎれば乳歯の歯並びに多少の影響が出ますが、4才になるまでにやめさせれば永久歯への影響はほとんどありません。「4才の誕生日までに卒業」が目安です。では、どうすれば指しゃぶりをやめさせることができるでしょうか?それは、ボンヤリした時間、ヒマな時間を作らないことです。外で思いっきり体を動かして遊ばせ、家ではたくさんの遊びや家事の手伝い、寝るときには手をつないで添い寝・・・・・ママは大変ですが、3ヶ月がんばってみて!きっと楽しい気持ちで卒業できるはず。

鼻呼吸、できていますか?

口呼吸はなぜいけないの?

私たち人間は、鼻と口どちらでも呼吸ができるようにできていますが、通常は鼻で呼吸する生き物です。しかし、アデノイドや扁桃線炎、鼻炎性アレルギーなどで鼻がつまっている場合、日常的に口呼吸をせざるを得ません。その口呼吸が、歯並びにも悪影響を与えてしまうのです。上下の前歯が口の中で正しい状態を保つためには、内側からの圧力(舌の動き)と外側からの圧力(口周辺の筋肉)が、ちょうどいいバランスで前歯にかかっていることが大切です。ところが、口呼吸する子はいつも口がひらいた状態になるため、口を閉める動きをする口輪筋のしまりが悪くなり、前歯を押さえる力が弱くなります。そのため、前歯には舌の圧力だけが一方的にかかってしまい、前突や開咬の原因になることもあるのです。

鼻呼吸に切り替えるために

お子さまに「口を閉じてお鼻で息をしてみよう!」と言って、1分間はかってみましょう。1分後、「ふつうだった」という子は日頃から鼻呼吸習慣があります。違和感があった場合は、まずは耳鼻科に連れて行き、鼻の通りをよくしてあげましょう。

4時間目 不正咬合 (タイプ別対策)

歯並びのよい子を育てるには、不正咬合の兆候に早く気づいて対策をとることが大切です。しかし、すぐに矯正を!というのではなく、生活習慣を改善することから始めましょう。場合によっては矯正治療も検討する必要があります。開始時期などの目安にしてください。

叢生(ソウセイ)(八重歯・乱ぐい歯)

歯が一列に並びきらず、デコボコになっている咬み合わせ。
原因・・・歯に対してアゴの骨が小さいことが原因。
対策・・・たくさん遊んでしっかり生活を。乳歯をむし歯にしないこと!
叢生の歯列矯正
乳歯の段階で極端なデコボコが認められる場合は、まずは矯正歯科医に相談を。乳歯が生えそろう4歳ごろから、アゴを広げる矯正治療が始められます。アゴを広げる矯正治療は小学校5年生頃まで可能ですが、それ以降であれば、すべての歯が永久歯になる12歳ごろから本格矯正を始めます。著しい叢生では抜歯をともなう矯正治療になる場合もあります。

上アゴ前突(出っ歯)

上の前歯や上アゴが前へ突き出ている咬み合わせ。日本人に多い。下アゴが後ろに下がっている場合もある。
原因・・・指しゃぶりや口元のくせ、脱力系の姿勢にも注意。
対策・・・くせをなおしましょう。筋力をつけて姿勢よくしましょう。
上アゴ前突の歯科矯正
4歳頃から小学校3年生までは、上アゴの発達を抑え、下アゴの発達をうながす早期矯正が有効です。それ以降の年齢であれば、すべての歯が永久歯になった段階で抜歯も考慮に入れた本格的な矯正治療を。

反対咬合(受け口)

咬み合わせたとき、下の前歯が上の前歯より前に出ている咬み合わせ。
原因・・・遺伝子性のものが多いが、乳歯のむし歯が原因の場合も。
対策・・・下の前歯が6本以上、上の前歯より前に出ている場合は矯正を。
反対咬合の矯正
幼児期や学童期に、骨核改善を目的とした矯正治療を行います。代表的なものでは、「上アゴ牽引装置」と呼ばれる装置を1日12時間程度(寝ている間と、家にいるとき)装着することでアゴの成長を促します。幼少期に骨核を改善しておくとで下アゴの発育を抑え、プロフィールも改善され、成長期の矯正治療が楽になります。

交叉咬合(クロスバイト)

上下の奥歯が横にずれている咬み合わせ。上下の前歯の中心もずれている。
原因・・・指しゃぶりが原因で奥歯の位置がずれてしまう。
対策・・・くせをなくしましょう。筋力をつけて姿勢をよくしましょう。
交叉対合の歯列矯正
交叉対合は成長にともなって治りにくくなりますから、幼児期や学童期に矯正するのが効果的です。歯軸を起こしたり、歯列を広げる矯正器具をつけて、本来の歯列の大きさを取り戻します。

過蓋咬合

上の前歯が下の前歯に深くかぶさっている咬み合わせ。
原因・・・集中力があって手先が器用な子に多い!?
対策・・・外で遊ぼう!大声をあげて走ろう!
過蓋咬合の歯列矯正
幼児期から、下アゴの発達をうながす早期の矯正治療が可能です。矯正歯科医に相談しましょう。深い咬み合わせを浅くする取りはずし可能な装置や歯の表面に部位をつけてワイヤーにより咬み合わせを浅くする場合もあります。

開咬(オープンバイト)

奥歯はしっかりかんでいるのに、前歯がかみあっていない咬み合わせ。上下の前歯にすき間が開いています。
原因・・・指しゃぶりや舌のくせで前歯にすき間が・・・
対策・・・早めにくせを治して。舌のくせは、トレーニング(MFT)で取り除きましょう。
開咬の歯列矯正
幼児期に舌のトレーニングをします。さらに年齢が上がると抜歯をともなう本格的な矯正治療が必要になります。なるべく早くきづいて、開咬がひどくならないうちに対策を!
参考資料・・・ 「歯並びのよい子に育てるために」

※マウスピース型矯正歯科装置(インビザライン)完成物は医療機器法対象外であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外の場合があります。